猫と私の第二の人生の始まり
猫とともに、私は15年ぶりに生まれ育った家に戻った。
両親は私たちを喜んで受け入れてくれて、
なかでも、父は猫と暮らすことをとても楽しみにしていたようだ。
猫のフードやおやつ、トイレや猫砂、おもちゃなど大量に買い込んでいたと、
母がこっそり教えてくれた。
都会のワンルームと違って、実家は広々としている。
襖を開け放てば二間続きの和室があり、さらには長い廊下や階段も!
長期の休みに猫を連れて帰ることはあったけれど、
それももうだいぶ前の話。
猫もすっかり忘れているようで、
家の中を警戒心と好奇心でじっくり探検している。
そんな猫の姿を嬉しそうに見守る父と母。
数日も経つと猫はすっかり慣れたようで、
もう何年も暮らしているかのようにリラックスし、
伸び伸びと過ごすようになった。
これまでは甘えられるのは私だけだったが、
今は父も母もいる。つまり、選びたい放題だ。
代わる代わる誰かに甘えては、おやつをもらったり、撫でてもらったり。
なかでも父の膝の上はとても居心地がいいらしく、
父が食事中でも構わず、ちょこんと座る。
膝の上に猫が乗っていたら、ご飯も食べづらいだろうと父を見ると、
これ以上ないほどに嬉しそうなので、思わず、笑ってしまった。
私が子どものころの父はとても厳格で、猫がテーブルに近づこうものなら
大きな声で叱りつけていたのに……。
ああ、年齢を重ねると人ってこんなに変わるものなんだなぁ。
この家に戻ってから、私の役目は猫の遊び相手を務めることだけになった。
奇声を上げながら追いかけると、猫は家の中を行ったり来たり。
ときには2階に駆け上がって、私をまこうとする。
ドタバタドタバタ……。
まるで2匹の猫が戯れるように、私たちはじゃれ合う。
そして、疲れたら畳の上にゴロンと横になり、
ゆっくりと流れる時間に身を委ねる。
ああ、戻ってきてよかったなぁとつぶやくと、
猫が横から「にゃーん」と心地よい相槌を返してきた。
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