子どもと猫が育む兄弟の絆

我が家には3匹の猫がいる。
一番の古株は5年前に友人から譲り受けた茶トラだ。
彼は恥ずかしがり屋のしっかり者で、
遠慮がちに甘えてくるところが何ともかわいい。
茶トラが家族となった2年後には、やんちゃでマイペースな黒猫と
優しくて甘えん坊の白猫が弟分としてやってきた。
性格の違う個性豊かな3匹の猫たちは、
本当の兄弟のようにのんびりと仲良く暮らしていた。

そんな彼らの日常に変化が起きた。
私がママになったのだ。
小さな赤ちゃんを連れて帰ってきた私を見て、
最初は戸惑っていた猫たちだったが、
ミルクの匂いを漂わせる赤ちゃんに興味深そうに近寄ってきた。
そして「これは何？」という目を向けてくる。

「今日から一緒に暮らす、君たちの弟だよ」

猫たちに語り掛ける私の声で目を覚ましたのか、
赤ちゃんが大きな声で泣き出した。

その突然の鳴き声に茶トラは飛び跳ね、一目散で押し入れへと逃げ込む。
黒猫は驚いたものの、好奇心の方が勝るようで、
一歩引いた場所でじっと様子を伺う。
白猫は赤ちゃんにも負けない大きな声を発し、
赤ちゃんの周りをウロウロ。
性格と同じく、赤ちゃんに対する反応も
猫それぞれなんだなぁと少しほっとした。

1週間も経つと猫たちは赤ちゃんの存在を受け入れたようで
茶トラは近づきすぎず、遠巻きに様子を伺い、
白猫は絶えずそばに寄り添って過ごしている。
黒猫に至っては、赤ちゃんのふかふかの布団が気に入ったようで、
いつの間にか、ベビーベッドがお昼寝スポットと化した。

この毛むくじゃらの3匹の生き物に囲まれて、
心なしか、赤ちゃんも嬉しそうだ。

―――あれから5年。
赤ちゃんだった息子も大きくなり、今では猫の扱いも慣れたもの。
今日も元気すぎる末っ子の周りには、3匹のお兄ちゃん猫たちが
それぞれの立ち位置で心配そう？に弟の様子を見守っている。